同じマンションに住む奥さんをナンパした話

同じマンションに住む奥さんをナンパした話

俺も独身の頃よくナンパしたものだが、成功率は低かった。いかにもナンパ待ちしていると思われる女であっても落としにくかった。理由は明確で、ストリートでは短時間勝負が求められるからだ。だいたい声をかけた瞬間ですべてが決まり、少しでも女が警戒心を抱いたらそれで終わりで、それからはどれだけ時間をかけても無駄。もともと見知らぬ女であるから、抵抗されて逃げられたらもう後がない。

今回のナンパ成功の要因は時間をたっぷりと使えたことにある。時間をかければナンパの成功率は格段に上がる。

大津市中心部にある新築の分譲マンションに引っ越してきて半年がたった頃だった。

もともとナンパしようと思ってその奥さんに近づいたわけではない。近所の公園で二歳になる娘を遊ばせていたら、彼女がママ友数人と子連れでやってきたのである。何度かマンションの敷地内で見かけたことのある綺麗な奥さんだった。年は三十代半ばくらい。瞳がくりくりして、艶やかな髪が初夏の風に似合う。胸の膨らみも麗しく、脚は細く長い。

知り合いになりたいがママ友たちが邪魔。俺は彼女がひとりになるチャンスを探した。彼女の娘が「ジュース飲む」と言って彼女のそばに走ってきた。彼女は娘の手を引くと、ベンチに移動してジュースを飲ませた。俺はそのチャンスを見逃さず、さりげなく横に座る。

「どこかでお見かけしたような・・・」

「え?」

「同じマンションの七階の伊藤です」

「あ・・・。そうですか。私は三階の谷口です」

怪訝な目だったが、同じマンションの住民であるという信頼感から、不審人物と思われることはなかったと思う。

それから休みの日に公園に行くのが俺の日課になった。彼女もママ友と一緒に現れた。たまに声をかけ、心理的距離を縮める。時間とともに彼女の警戒心も和らいだ。

「明日の日曜日は今日より暖かいみたいですね。また来よう」

そう言ってお別れし、翌日同じ時間に来てみたら彼女がいたのである。しかもママ友抜きで。やや離れたジャングルジムで子供と二人で遊んでいる。ベンチにいる俺の存在には気づいているはずだが、一度も視線を向けない。そのくせ子供が砂場で穴を掘り出すと、急に微笑みをうかべてベンチにむかって歩いてくる。

「本当に言い天気ですね。暖かいわ」

「暖かいですね。奥さんと一緒にいると、特に」

その会話から急に仲むつまじくなった。連絡先を交換してからは子供抜きで合うようになり、これを読んでいるみなさんが想像するような秘密の関係になった。

服の上からでも察しがついたが、彼女の裸はすばらしい。俺はとくに乳房と脚が気に入った。ヴァギナの具合もいい。人の奥さんのヴァギナはなぜこんなに魅惑的なのだろう。感無量。

「そろそろ、やめたいんですけど」

その日二回目のセックスのあと彼女がこぼす。同じマンションの住民だから人目に付きやすいし、このためだけに子供を託児所に預けるのも変だし、この辺で終わりにしたいと言う。俺も気持ちいい思い出を残して別れたいから、その申し出を受け入れた。

時間をかければかけるほど、ターゲットの女性を陥落させる確率は高くなることを学んだナンパだった。同じマンションでもあるし、信頼感も後押しする。

だが彼女の言うとおりお互いの居住空間が近すぎるし、人目もある。

マンションでのナンパは、それなりの覚悟が必要。

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